最初の家に込めた想い

M様(+Modifyドナー住宅ご提供) × アサヒアレックスホールディングス株式会社 代表取締役 石倉茂雄

新潟市内、信濃町。約30年前、一組の家族のために建てられた一軒の家があります。二世帯7人が同じ屋根の下で暮らした住まいは今、壊されるのではなく、次の住み手へつながれようとしています。+Modify第一号となるこの家に、どんな想いが込められていたのでしょうか。ドナーであるM様ご夫妻と、アサヒアレックスホールディングス代表取締役・石倉茂雄氏に伺いました。

きっかけは、先輩が建てた一軒の家

すべての始まりは、ごく個人的な出会いでした。「先輩が家を建てたと聞いて見学させてもらったら、すごく素敵で。『どこで建てたの』と聞いたら、それがアサヒアレックスさんだったんです」とM様(奥様)は振り返ります。いくつものハウスメーカーを回った末、最後に決め手となったのは、ご主人の「アサヒアレックスがいい」というひと言でした。

住宅選びは、カタログの数字だけでは決まりません。「あの人が建てた家、いいな」という感覚こそが、いちばん確かなものさしになります。決定後は、腕の良い大工として評判だった寒河江氏をわざわざ指名し、担当現場が空くまで順番待ちをしたそうです。石倉代表は「当時、ツーバイフォーをきちんと施工できる大工は少なくて。寒河江さんは本当に腕が良くて、今でもよく覚えています」と振り返ります。

「自分が住みたい家」しか提案しない

森邸を担当した頃、石倉代表自身も創業から5年、ツーバイフォーの自宅を建てたばかりでした。「自分が住みたい家しか、お客様に提案しない。住みたくない家は絶対に提案しない」。今も社員に伝え続けているというこの一言に、すべてが表れています。

耐震性、気密性、断熱性に優れたツーバイフォー工法は、当時としては新しい選択肢でした。2階の足音が響きやすいといった弱点も含めて理解した上で、できる限り良いかたちで届ける。そのスタンスが、「売る」のではなく「一緒に選ぶ」家づくりをつくってきました。

二世帯、7人。同じ屋根の下で暮らすという決断

きっかけは、ある日の出来事でした。当時、家族と両親は別のマンションに暮らしていましたが、父親が浴室で立ち上がれなくなったことがあったといいます。「介護のことも考えると、同じ家で暮らしたほうがいい」。そう気づいたことが、二世帯住宅という選択を後押ししました。

土地探しから完成まで、時間をかけてじっくり進みました。「それぞれにキッチンを置いて、お互い自立した暮らしができるように」と話し合い、間取りは何度も描き直されたそうです。当時のやり取りは、今も手元に資料として残っているといいます。数字には表れない、こうした対話の積み重ねこそが、家の質を決めていたのかもしれません。

リビング階段に込めた、小さな願い

完成した家には、当時としては先進的な仕掛けがありました。リビングから直接上がるリビング階段です。「子どもたちがリビングを通らずに部屋へ行ってしまうのが嫌で。必ず顔を見せてから上がってほしかった」というささやかな願いから生まれた設計を、石倉代表は「30年前としてはかなり先進的でした」と語ります。

料理好きだった母親は、自分のキッチンで腕をふるい、共働きの夫婦を支えました。娘たちは明るいうちからお風呂に入れることを喜び、出産後の里帰りにもこの家を選びました。マンションでは味わえなかった「駆け回れる広さ」が、家族それぞれの記憶に残っていきました。

100年、住み継ぐという発想

石倉代表が創業以来ぶれずに大切にしてきたのは、「家づくりは性能がいちばん」という考え方です。数値だけでなく、住み心地や省エネ性、耐久性まで含めた総合的な性能を指します。「構造さえしっかりしていれば、手入れをしながら100年でも住み継げる」。建てて終わりにせず、毎年の訪問とアフターメンテナンスで長く付き合う。手がけたおよそ4,000棟のうち、3,800棟ほどを今も継続的に訪問しているという実績が、その言葉に重みを与えています。

家族の歴史の真ん中にあった場所

30年以上の時が流れ、子どもたちは独立し、今は夫婦二人の暮らしに変わりました。「家族みんなが一緒に暮らせる場所をつくる」という願いから始まったこの家は、家族の歴史そのものだったとM様(ご主人)は語ります。M様(奥様)にとっても、「夫が横になっても邪魔にならない家」「両親も安心して暮らせる家」を持てたことは、人生の中で大きな出来事でした。

この家は今、壊されるのではなく、次の誰かへつながれようとしています。「またご縁があれば、ぜひ関わらせてもらいたい」と石倉代表は語ります。一軒の家に込められた想いは、住み手が変わっても消えません。それこそが、+Modifyという選択が問いかけている、これからの住まいのかたちなのかもしれません。

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