家を手放すとき、多くの人が思い浮かべるのは「売却」か「取り壊し」でしょう。M様ご夫妻も、最初はそうでした。しかし、ReeL株式会社代表取締役・弦巻大輔氏との出会いが、その選択肢に新しい道を加えることになります。想いを託す家が、次の世代へとつながっていくまでの物語を伺いました。
「まだまだ使えるお家ですね」というひと言
家を手放すことを考え始めたM様ご夫妻は、何社かの不動産会社と話を進めていました。「買い取って、買い手がついたらそのままお引き渡しします」というスタンスの会社が多い中、ReeLだけは違ったといいます。
「実際に家を見て、『まだまだ使えるお家ですね』『いいお家ですね』というところから話が始まったんです」とM様(ご主人)は振り返ります。そこから、「リノベーションをして、施工はアサヒアレックスさんと一緒に行う」という提案が続き、一気に心をつかまれたそうです。
出会いのきっかけは、M様(奥様)が見つけたReeLの名前でした。「ここにちょっと電話してみよう」という小さな一歩から、およそ3年にわたるお付き合いが始まりました。「担当の佐藤さんが本当に話しやすくて、何でも気軽に相談できたので、だんだん『もうお任せしたいね』という気持ちになっていきました」

住宅価格の高騰と、まちの空洞化への危機感
+Modifyという発想は、どのような課題意識から生まれたのでしょうか。弦巻代表はこう語ります。
「数年前からのインフレの影響で、新築価格はインフレ前と比べて約1.4倍になっています。新築にこだわると、どうしても土地の安い郊外に立地を求めることになり、市街地の空洞化が進んでしまう。これはずっと感じてきた問題意識です」
同時に、空き家問題も社会課題として大きく取り上げられるようになりました。「住宅ストックにもっと注目していくべきだ」という思いが、+Modifyの原点にあります。
「洋服の世界にも、よくわからない古着を扱う店と、ヴィンテージやブランドものだけを扱う店がありますよね。住宅も同じように、ストックの中での差別化が進むと考えています。性能が高く、きちんとメンテナンスされ、立地の良い家。そうしたストックが評価される時代が来るはずです」
リノベーションとは違う、「価値の継承」という発想
M様(ご主人)が最初に抱いたのは、率直な疑問でした。「もう30年も経っている家が、本当にまだ使えるのか」。しかし話を聞くうちに、「この家はまだ20年くらいは十分いけますよ」という言葉に、少しずつ納得していったといいます。
「すべてを作り変えるのではなく、骨格や面影を残しながら活かす」という考え方に、M様は驚いたそうです。資材高騰の中でコストを抑えられ、環境にも配慮できる。「これはいい話だな」と感じたと語ります。
弦巻代表は、リノベーションとの違いをこう説明します。「リノベーションは、マイナスの状態をプラスに戻すという意味合いが強い言葉です。一方+Modifyが大事にしているのは『価値の継承』。もともとプラスの状態にある家を否定するのではなく、再評価して現代的にアップデートする。プラスをさらにプラスにするイメージです」
数十年前のデザインをアップデートした家は、これから家を持とうとする若い世代にもきっと響くはず。価格面では、新築価格の6割程度で、性能は新築の9割程度を目標にしているといいます。「市街地に、手の届きやすい価格で住める。しかも、想いを継承した住まいである。そこが+Modifyの大きな魅力だと思います」

次の住み手へ、託したい想い
この家を託す相手に、どんなふうに暮らしてほしいか。M様(ご主人)はこう語ります。「私たちがこだわって作ったリビング階段など、大切にしていた部分は、ぜひそのまま活かしてもらえたらうれしいです。家族が仲良く過ごせる家として使ってもらえたら」
M様(奥様)も、この土地の魅力を教えてくれました。「南側は8メートル道路で日当たりも良く、近くには公園もあります。先日孫が遊びに来たときも『この公園が一番楽しい』と言っていました。子どもたちがのびのび過ごせる環境だと思います」
「壊す」から「託す」へ。第一の選択肢になる未来
+Modifyが広がることで、弦巻代表はどんな未来を思い描いているのでしょうか。「今日M様からお話を伺って感じたのは、『家をダウンサイジングしたい』と考える方々にとっての第一選択肢になれるのではないか、ということです」
「今の家が少し大きすぎる」と感じたとき、「壊して更地にする」のではなく、「+Modifyとして次の世代に託す」という選択肢が当たり前になってほしい。受け継ぐ側にとっても、安易に郊外へ出るのではなく、市街地で+Modifyされた家に住むという選択がしやすくなる。そんな未来を、弦巻代表は見据えています。
壊さないという選択は、一軒の家の物語だけでなく、まちの未来にもつながっています。M様ご夫妻とReeLの出会いは、その最初の一歩でした。
